太陽エネルギーとは

地球温暖化対策、分散型エネルギーの供給確保など様々な観点から、一度利用しても比較的短期間に再生が可能である自然由来のエネルギー、「再生可能エネルギー」に注目が集まっています。中でも利用の拡大が進んでいるのが太陽エネルギーです。

太陽は膨大なエネルギーを生み出しています。そのエネルギーは、紫外線・可視光線・赤外線といったさまざまな波長の光エネルギーとして地球に届きます。太陽光発電や太陽熱利用システムなどはこのエネルギーを利用したものです。

現在の主要なエネルギー源である石油・石炭などの化石燃料は、資源の量に限りがある枯渇性資源であり、また、利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を排出することから、環境へ大きな負担をかけています。一方、太陽エネルギーは半永久的に使用し続ける事ができ、かつ、利用時にCO2をほとんど排出しないという特長を持っています。このため、太陽エネルギーの利用は今後飛躍的に拡大することが期待されています。

プチ情報

再生可能エネルギーは、太陽エネルギーのほかに、風力、地熱、水力、バイオマスなどがあります。すべて環境に優しいエネルギーです。

太陽光発電システム

太陽光発電システムとは

太陽光発電システムとは、太陽光のエネルギーを利用して発電するシステムのことです。家庭用の太陽光発電システムの場合、発電した電気は家庭内で使用する事ができ、使用しきれず余った分は電力会社へ売ることができます。

太陽光発電のメリット

1. CO2排出量を削減します

化石燃料を使用する火力発電の場合、多くのCO2を排出します。これに対し太陽光発電は、生産から廃棄までを含めたとしても排出されるCO2排出量は火力発電と比較してごくわずかと言われています。

1世帯平均CO2排出量の内、電気に由来するものは半分近くを占めますので、電力を太陽光発電に切り替えることで大きな削減効果が期待できます。

2023年度における家庭の二酸化炭素排出量の燃料種別内訳を示した円グラフ。灯油7.5%、LPG4.6%、都市ガス9.0%、電気46.0%、ガソリン25.4%、軽油1.5%、ゴミ3.9%、水道2.0%となっている。1世帯あたりの年間排出量は約3,608kgCo2。
図1家庭からの二酸化炭素排出量
出典:温室効果ガスインベントリオフィス全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)ホームページより

2. 枯渇せず、国内で生み出せるエネルギーです

火力発電に使用する石油や石炭・天然ガスなどの化石燃料は、地球上の埋蔵量に限りのある枯渇性資源ですが、太陽光発電のエネルギー源である太陽エネルギーは無尽蔵なので、枯渇の心配がありません。

また、化石燃料は埋蔵されている地域が限られているため、日本での自給を進めることが難しく、日本で使用する化石燃料のほとんどは海外に依存しています。

これに対し、太陽光発電は太陽のエネルギーを利用するため、国産エネルギーとしてエネルギー自給率の向上に貢献します。

3. 電力消費のピークをカット。過剰な設備投資を抑制します

電力需要がピークを迎えるのは真夏の昼間の数時間。このピーク時に電力をカバーするために、多くの発電所が作られています。太陽光発電は、電力需要がピークを迎える昼間に発電し、電力需要のピークカットに貢献します。

4. 地域で設置できる分散型エネルギーです

太陽エネルギーは地域による偏在性が少ないため、基本的には設置する地域に制限がありません。また、騒音もないので日射量が確保できれば一般の家庭での設置が可能です。個人の住宅で発電が可能となることで、エネルギーの地産地消を実現し、災害時の分散型電源としても活躍します。

プチ情報

ゴビ砂漠の半分に太陽電池を敷き詰めれば、世界中の人が必要なエネルギー量を発電できると言われています。

太陽熱利用システム

太陽熱利用システムとは

太陽熱利用システムとは、太陽エネルギーを利用して水や空気をあたため、給湯や冷暖房に利用するシステムです。太陽の熱を直接利用するため効率が良く、機種や設置条件にもよりますが、冬季の晴天日で40~50℃程度、夏季の場合60~70℃程度に水を温めることが可能です。

太陽熱で温めた水温が低いときはガス給湯器などの補助熱源を利用して加温しますが、この場合でも、水から温めるよりも燃費を節約することができます。ガスや電気の節約になるとともに、CO2を排出しないため、太陽光発電と並び、地球温暖化対策の面からも注目されています。

太陽熱利用システム導入の意義~熱は熱で~

2022年度の都における家庭部門のエネルギー消費量を、用途別割合で示した円グラフ。給湯用 40.7%、暖房用16.7%、冷房用2.0%、厨房用8.4%、その他動力32.2%で構成され、給湯と暖房などの低温熱需要が全体の半分以上を占めることを示している。
都における家庭部門のエネルギー消費量の用途別割合(2022年度)

「熱は熱で」とは、「給湯や暖房など比較的低温で利用される熱は、なるべく太陽熱や地中熱などの再生可能エネルギーによって生み出される熱で賄いましょう」という考え方です。

電気は、火力発電所で発電する場合、使用する化石燃料の約6割を排熱や送電ロス等により、海や大気中に捨てています。電気は、照明や動力など、「電気としてしか利用できないもの」に利用すべきであり、電気を再度、熱に変換することは無駄が多いのです。一方、家庭で消費するエネルギーは、その約半分が給湯や暖房などの比較的低温な「熱」の用途に使われています。

こうした低温熱には熱エネルギーを直接利用することが効率的であり、特に太陽熱や地中熱などの再生可能エネルギー熱を積極的に活用することは、化石燃料の使用量を削減することができ、地球温暖化の原因となるCO2排出の抑制に大きく寄与することにもつながります。

太陽熱利用システムの活用は、この「熱は熱で」の考え方を実現する上で今後ますます重要になってきます。

火力発電によるエネルギーの利用効率を示した図。発電の際に排熱や送電ロスとして約60%が失われ、家庭で実際に利用されるのは約40%であることを表している。

太陽熱利用システムのメリット

太陽光発電と太陽熱利用の比較

機器変換効率※用途メリット
太陽光発電10数%テレビなどの家電製品 光熱費削減
CO2排出量削減
太陽熱利用40~60%給湯、暖房

※同じ量の太陽エネルギーから変換できるパネルの変換効率

1. CO2排出量を削減します

都の試算するモデルケース(延床面積150㎡の一般的な戸建住宅に集熱面積4㎡の太陽熱利用システムを導入した場合)では、戸建住宅で年間7,831MJの太陽熱を利用できます。これにより、都市ガスでは191立方メートル、LPガスでは88立方メートルの利用量を削減でき、CO2排出量に換算すると435kg-CO2~528kg-CO2を削減できます。これは杉の木約30~40本分の年間CO2吸収量に相当します。(杉の木1本当たりの年間CO2吸収量は平均14kg)

2. エネルギー変換効率が高い

太陽のエネルギーを直接熱として利用するためエネルギー変換効率がよく、日射エネルギーの約40~60%を熱として利用できます。集熱器(屋根の上に設置し、太陽の熱を集めるパネル)4㎡のシステムで、戸建住宅の給湯の4割程度をまかなうことができます。(参考:太陽光発電の変換効率:10数%)

3. 狭い屋根でも設置が可能

太陽光発電システムの設置に必要な面積は、3kwのシステムで約20~30㎡程度です。これに対し、太陽熱利用システムの集熱器の設置面積は約4~6㎡(液体式の場合)。都内に多い、屋根面積の狭い家にも設置が可能です。

プチ情報

太陽熱利用システムも、おひさまの力を活かす強い味方です。屋根の形が複雑だったり、屋根の面積が狭かったりで太陽光発電システムが設置できない際は、太陽熱利用システムをご検討ください。

関連リンク

太陽エネルギー活用

お問い合わせ

普及連携チーム
電話:03-5990-5065