廃棄物処理施設の省エネルギー診断の事例をご紹介しています。具体的な省エネ対策の内容や効果について説明しています。

概要

建物の概要

建物種別 汚泥処理棟、廃油処理棟他
延床面積 290m²
階数 地上2階
使用エネルギー 電気、A重油、上下水道

エネルギーグラフ

CO2排出量の削減効果

31.5 t-CO2/年 削減

光熱水費の削減効果

2,460,000 円/年 削減

目次

運用改善による省エネ対策

エネルギー管理体制

エネルギー管理体制の構築

削減効果

CO2排出量

10.1 t-CO2/年 削減

光熱水費

391,000 円/年 削減

対策概要

下表に該当する対策を実施することにより、右欄に掲げる省エネ効果が得られると言われています。今回は表の2、4を実施し、エネルギー使用量の削減を図ります。

No.設問可能最大省エネ率
1エネルギー管理体制の整備・確立がなされていますか1%
2エネルギー原単位の管理をしていますか1%
3省エネルギーの管理目標を設定していますか1%
4エネルギーデータを記録し活用していますか1%
5機器の定期的な保守・メンテナンスをしていますか1%
合計 5%

コンプレッサ

コンプレッサ吐出圧力の調整

削減効果

CO2排出量

3.76 t-CO2/年 削減

光熱水費

145,000 円/年 削減

対策概要

コンプレッサの吐出圧力の設定が0.9MPaとなっています。使用圧力は0.6MPa程度なので、設定圧力の低減が可能であると考えられます。
コンプレッサの吐出圧力を0.6MPa(0.3MPa削減)に調整し、電力使用量の削減を図ります。
設定圧力を0.3MPa下げることにより、約20%電力使用量が低減できると言われています。

Before

消費電力量

38,468 kWh/年

※コンプレッサ:1台

After

消費電力量

30,774 kWh/年

コンプレッサ

コンプレッサ吸気温度の低減

削減効果

CO2排出量

0.564 t-CO2/年 削減

光熱水費

22,000 円/年 削減

対策概要

コンプレッサの吸引口を建屋外に延長設置し、吸込温度を低下させることにより、電力使用量の削減を図ります。例えば、吸込温度を現状の35℃から26℃まで低減できたとすると、消費動力は約3%{=100-(273+26)/(273+35)×100}削減できます。

Before

消費電力量

38,468 kWh/年

After

消費電力量

37,314 kWh/年

ボイラ

ボイラ運転台数の調整

削減効果

CO2排出量

24.9 t-CO2/年 削減

光熱水費

717,000 円/年 削減

対策概要

A重油焚小型貫流ボイラは2缶あり、常時電源が投入され、蒸気を製造できる状態に維持されています。その年平均負荷率は26%と低負荷で運転されています。常時運用缶数を1缶とすることで、点火率を向上でき、燃料使用量の削減が図れます。

Before

A重油使用量

81.660 kL/年

After

A重油使用量

72.470 kL/年

ボイラ

ボイラ蒸気圧の低減

削減効果

CO2排出量

9.51 t-CO2/年 削減

光熱水費

274,000 円/年 削減

対策概要

A重油焚小型貫流ボイラは2缶あり、その蒸気出口圧力設定値は平均0.70MPa-Gに設定されています。当該事業所で加熱する温度は70℃以下であり、必要とする圧力は0.35MPa-Gでも業務への支障はないと考えられます。ボイラ出口圧力を、0.35MPa-Gに低減し、燃料使用量の削減を図ります。

Before

A重油使用量

81.660 kL/年

After

A重油使用量

78.149 kL/年

設備改善による省エネ対策

ポンプ・ファン

インバータ制御の導入

削減効果

CO2排出量

12.9 t-CO2/年 削減

光熱水費

500,000 円/年 削減

投資金額

投資金額 605,000円
投資回収年数 1.2年

対策概要

貴事業所の汚泥処理施設に設置された脱臭装置の排風機は、24時間、一定風量で連続稼働されています。ろ過機が稼動しているときなどはフル稼働を求められますが、それ以外では臭気の放散も低減するためフル稼働の必要が無くなります。現在は定流量による稼働方式のため、電力使用量増大の原因となっています。排風機にインバータ制御装置を設置し、ろ過機など汚泥処理設備の構成機器が一部停止している場合は排風機の回転数を低減し、電力使用量の削減を図ります。

Before

消費電力量

95,304 kWh/年

脱臭設備排風機:1台

After

消費電力量

68,856 kWh/年

脱臭設備排風機:1台

ボイラ

ドレン水の再利用

削減効果

CO2排出量

14.2 t-CO2/年 削減

光熱水費

409,000 円/年 削減

投資金額

投資金額 800,000円
投資回収年数 2.0年

対策概要

ボイラ給水は上水を使用し、且つ、清缶剤でスケールの発生を防止しています。ボイラで発生した蒸気は熱交換器で廃油と熱交換し、ドレン水として回収されています。ドレン水をボイラ給水の一部として再利用することで、燃料使用量の削減を図ります。ドレン水をボイラに給水するための配管工事を行います。

Before

消費電力量

68.962 kL/年

※前述の削減効果の多重計上を避けるため、ボイラは1缶運用され、蒸気圧0.35MPa-Gに低減された状態とします。

After

消費電力量

63.721 kL/年