「契約主体」に着目した契約

地域内経済循環等を目指していくために「地域新電力」と随意契約等により契約締結する事例があります。行政目的を実現する事業パートナーとして施策推進の大きな力となる可能性がある一方、特定事業者の優遇と見られると議会からの追及や住民監査の原因となるケースもあり、充分な検討や住民理解などの準備が必要となります。

【北九州市】地域エネルギー会社「北九州パワー」を活用した安定・安価なエネルギー供給の実現

2013年、北九州市新成長戦略の主要プロジェクトとして、低炭素で安定・安価なエネルギーを供給することを目指し、「北九州市地域エネルギー拠点化推進事業」を実施。同事業の推進会議取りまとめにおいて、「新電力のみの利益でなく、地域全体の利益を追求するために、新電力の登場を待つのではなく、地域エネルギー会社を設立し、そこが役目を果たすことが必要」としている。これに基づき、2015年12月に同市と民間事業者の共同出資(市出資率:約25%)で㈱北九州パワーを設立。2016年の営業開始に合わせて、市有施設の大半が電力を切替えた。
市は、地域エネルギー会社を事業計画に位置づけるだけでなく、上記推進事業内で市内需要家へ電力購入意向の調査を実施し、「約8割の需要家が地域エネルギー会社からの電力購入に関心あり」との結果を得ている。こうした準備を経て、北九州パワーを設立し、さらに市有施設の電力購入を随意契約にて実現している。また、ごみ発電の売電価格や、公共施設の買電価格が妥当であることを、常にチェックし、報告することで、財政部局や議会が納得する仕組みも作り上げている。
2021年2月には、公共施設の使用電力を2025年までに再エネ100%とする目標を発表したが、その再エネ供給に係る部分にも、北九州パワーがごみ発電を含む市内再エネから電気を調達し、市有施設に供給する主体として位置付けられている。

※北九州市「北九州市地域エネルギー拠点化推進事業